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Sunday, November 1, 2009~

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2011年3月19日 PM:15:30~ 

場所は 西新宿 朝日カルチャーセンター7階


長田弘の詩の世界 


 
「そのときだったんだ。そのとき、きみはもう、一人の子どもじゃなくて、

一人のおとなになっていたんだ」。人は、ことばを生きる生き物。

今ここに在る人の生き方の姿勢を問うて、語られないことば、

聴こえない声に聴き入る……。

日本語がこんなに平明で、平明であることによって、

こんなに深い表現力を持ちうるのだといわれる長田弘の詩の世界。

今期は、『世界はうつくしいと』によって季節について、

『深呼吸の必要』によって世界について、『われら新鮮な旅人』によって

時代について、代表作からデビュー作まで三回に分けて、

詩人自ら作品を選んで読みつつ、その詩の秘密を語ります。




2011年 1月 みすず書房 








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前回同様・・ 時間通りに長田先生は教壇に座り、
淡々とポツリポツリと話し始めた。


「前回から今回の間のに大変な事が起こりました・・・。」


われら新鮮なる旅人  


45年前、25歳の時に初版されたものを 編修(古典の本を出す時に使う
言葉で明治文学にはあったもの)して先月新刊として発売されます

自分で書いたものだが自分でない25歳の時と26歳の500行 
31歳の時の長い詩をいまの自分、読者から見たかった


今日の話は 先生の詩へのルーツと地震との関係があった世界観を
感じられる90分でした

それにしても 話が最後の方に行くうえで すべての話が源流から
大海原へ流れ出しすべての水が混じり合うように 完結に終わった 

凄い

「・・詩とは 感受性 」


「吊るされた人に」という詩から始まるこの詩集は 長田さんが初めて
海外に行った場所 ポーランドのアウシュビッツ刑務所跡の

話しから始まる,,  ,


.. . +*.


アウシュビッツより規模の違う場所 ビルケナウ強制収容所からみた
何とも言えない 美しい夕景  自分にとってこの美しさが何だろうか?と 

不条理な世界を描いた 「夜と霧」を 思い出し動転した 首を吊るされた人
木々のゆらぎ 一つ一つそれが自分にとって何?出発点として残っている,, ,

詩と云うのものは 美しいもの 醜いもの を言葉として
確認したことを描き取っていくものが 詩だと思っています。 

感性の反対は理性があります 感受性には反対がない 受け止める 
自分にとって何だろう,, ,

川面の光 夕暮れの街 風の音 人の足音 -

すべては 声を持っていると思っています ボイス-声 どんなものも
耳を澄ますこと 心を開いて聞くということ 

声を書き取る 確認した言葉 -詩- それは コーリング
呼びかけに対する レスポンス答える→× →応える

20代の頃に 出てこなかった言葉 「人生」
ある時点20代後半に気づく 「クリストファー僕はどこへいる」という

詩を書いた時

初めて出てきた 「人生」 人が生きた一生 あっけない死に方をした
俳優 ”赤木敬一郎”やジャズトランペッター ”クリフォードブラウン”

年齢を生きるというのが 人生 高齢化社会=年齢(人生)簡単に死なない 
生きているのが死ぬより不条理になる 

いまの社会を見ても その人の生きている年齢だと感じる 

学校で「文学史」を学ぶ 発展的に教えている 時代として呼んでいる
20世紀大学と云うものが出来 物の感じ方・考え方が変わってきた

たとえば クラシック音楽-元の音は同じ-指揮者が変われば変わる
詩も AさんBさんの読み方で変わる 45年も経ち気付いたことは

自分で聞き入る長さが変わった事です -理解するのではない 
その時その時で違う-立って読む 座って読む 

ヘミングウェイは 立ちながらタイプライターを打ちリズミカルな文章を
書いた,, , 朗読というものは出来あがった物を読み上げるものではなかった

自分が書いている作品を読むのが 朗読 だった

言葉を持つスピード 持っている声・・それを受け止める人を見て
いまの書き方とは違うと考える / 重要なのは 作品は間違いなく時代の

産物を読んでいる年齢に繋がる 「 年齢の中に現在(原罪)を確める 」
いろんなものが掴めないもの 言葉にはいろいろなものがある

日本の言葉は特別 例えば -色- 青 蒼 藍 何十種類もある
1つひとつ知るには難しい 

「 ・・・ 2011年3月11日 福島県沖で地震が起きました 
私は福島市の生まれです 今回の本のあとがきは今年1月に書いたもの・・」

中学生の時に 担任の先生が 今は何も無くなってしまった 
しんちという海辺の町に住んでいて 遊びに行ったことがありました 

海辺の楽しさを味わった町 

数年前にそこで 講演をしました 翌朝 海辺に立ってなんともわからない
海の美しさがありました そしてあの時であった町の人は 

死んでしまったのか

生きているのか わかりません 海辺の美しさ

その時 繰り返して出てきた本 聖書 ヨブ記
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%96%E8%A8%98

ヨブという青年が神さまへ向かってのの知って叫びました 
すると 嵐の向こうから神が言いました 

無罪にするために有罪にするのか?

2000年以上前 神との対話を書かれたもの そこには
自分の無力さを常に意識していなくてはならい と・・・

意識していない時に 人間は打ちのめされてしまう
無力さを自覚しているのが 人間ということを

ニュースをみて 無力さと 万能である原子炉というものが
無力として見れなかった日本の社会 


海辺の世界 


いつでも生命が創造され作られ、また奪いさられる出会いの場所

古い古い世界がそこにある 町が消えてしまったところでも残る
静かな穏やかな波を見ている

-あの大津波は本当なのか?-
アウシュビッツの夕暮れの美しさと似ている

矛盾の中に感受して乗り越える

自分の無力さ 自覚 人間の感受性・生き方を作ってきたと
忘れないようにしたいと・・・

発展していくことでない成熟するのでない持続する事が大事です
人間は無完全であるということ 

昔 原子の火がもたらす悲劇について描いた 「渚にて」という
アメリカ映画のタイトル その時わかっていたことなのに 

美しい場所 恐れられない場所 忘れなれない場所
無人の海辺の町は 潟(かた)になってしまった風景は忘れない

45年前-言葉の中に 自分の世界が作られたのは
恐れる事の自覚 無力さの自覚 

古い古い感受性の中 自分を愛している(神と同じ)同時に
人間の優しさをわすれないと 


Forever and day. 永遠と一日という
感覚を忘れないように 



2011年3月19日 午後 長田弘






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           どんなにささやかであろうと
 怒りは 日の色のなかから 死の中心をめざす行為だ。

                艶々したけもののように柔軟な精神は、
                          伏せている曇った瞳の奥、
       
                 崩壊の深いヘリからさえ起きあがって、
              血のちらばる網膜にのびる砂州を疾走し、
       
                 ねむる島国への憎悪になやみながら
                        魂の暗い岬をめぐるだろう。


        涙のあたたかいひとしずくを まぶたの裏で、
          ふいにおおきな海に変える

         瞬間はぼくたちの唯一の関係だ。

                       風かみにむかう冷たい風のながれ、
                          逆巻く水と泡の花のまんなかで
        
                     竜骨と情事は狂気のように背きあい、
                         だるい信仰と技術をねぶって、

                                           愛は冬と
 
                        友情は悲哀の都市と
                             離ればなれになるだろう、

      一度も想いだしたことがない 遠くの記憶を、
            海鳴りでいっぱいにして。


          
死者たちの歯がくらやみを噛みくだくとき、
            乾いたくちびるのうえに

          落ちてくるのは、抜けるように青い 
             失敗のひろい空だ。



   (ぼくたちをしばる古い話は、いったい誰が教えてくれたか
   七つの遊星がカニ座に集まるとき、大洪水がぼくたちの時をさらうだろう。
   七つの遊星がヤギ座に集まるとき、劫火がぼくたちの時を焼きつくす)



                  おお、音階をわすれた 
     ぼくたちの多忙と悲惨についてかんがえよう

      ガラスと石と薬と組織に包まれた優雅さ、
  つまり、ぼくたちの衛生的な時代についてかんがえよう。

        燃えているようなこの大きな日没。

 遠くの真っ赤な波のあいだから 跳びあがって、キラッと光る
        やさしいイルカがぼくたちの耳に

          警告をとどけてくれるから。


                  ああ、飢えさえ知らず、 
    なぜこんなにもぼくたちは 傷つきやすいのか。

           カモメのようにいくども 
          ぼくたちが頑なに出発する

    陸の街々では、黙ったまま、一枚の夕刊を畳むように
        動物園が閉まり、炭鉱が閉鎖される。

        だが かたい黙否の権利のうちに、
     いま ぼくたちは はげしく寄せかえすのだ。


       歴史は強者のものでも、またおそらく 
          敗者のものでもないだろう。

      
明日の入江は暮れた昨日の浜辺がはらむなら、
      闇のなかの海のような恐怖を内包しつつ、

          たえまなく変貌をとげてゆく 

                 
                                                波!
                  
                   
             それがぼくたちだ。



  
 
(ぼくたちをしばる古い話は、いったい誰が教えてくれたか。
   七つの遊星がカニ座に集まるとき、大洪水がぼくたちの時をさらうだろう。
   七つの遊星がヤギ座に集まるとき、劫火がぼくたちの時を焼きつくす)





                                  波 長田弘 1965年 われら新鮮なる旅人より 





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【photograph東京都新宿区西新宿2-6-1新宿住友ビル】



★長田弘・・・詩人。1939年福島市生まれ。

1965年詩集『われら新鮮な旅人』でデビュー。

毎日出版文化賞(82)桑原武夫学芸賞(98)講談社出版文化賞(2000)

詩歌文学館賞(09)三好達治賞(10)などを受賞。代表作に、

詩集に『深呼吸の必要』『食卓一期一会』『記憶のつくり方』(以上、晶文社)

『一日の終わりの詩集』『死者の贈り物』)

『人はかつて樹だった』(以上、みすず書房)

『幸いなるかな本を読む人』(毎日新聞社)

『世界はうつくしいと』(みすず書房)

エッセーに『詩は友人を数える方法』(講談社文芸文庫)

『本を愛しなさい』(みすず書房)『読書からはじまる』(NHKライブラリー)

『読むことは旅をすること―私の20世紀読書紀行』(平凡社)など。

最新刊に、詩集『世界は一冊の本(決定版)』(みすず書房)

『詩ふたつ』(クレヨンハウス)。






< Music by Oh, lady be good - Memories of you  Clifford Brown -
New York City, January 20 1955
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■ Artist:Takeshi kitano,
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